というのは、これが世界の宗教分布に大きく影響したという説があるからだ。イスラム勢力はたびたび北方へ攻め入り、現在のロシア圏などにも勢力を広げたが、支配者として定着するには至らなかった。これは、あまりに寒い地方では、酒を飲んで体を暖めないととても冬は過ごせないためである、というのだ。赤道付近の暑い地域を主体に広がっている現在のイスラム圏を見ると、このお話も全くの嘘ではないか、とも思える。いずれにしろ、イエスやムハンマドの酒に対する個人的なスタンスが、今の世界の形を大きく変えてしまっているのは事実だろう。
炭素文明論 「元素の王者」が歴史を動かす (新潮選書)