1568年の八十年戦争(オランダ独立戦争)開始時にはオランダにおける武器産業は経済全体のごくわずかな役割しか果たしていなかったが、終了時の1648年には、無視しえないほど巨大なものとなっていた。オランダ共和国は、直接的にも間接的にも、武器貿易を支援した。最大の武器消費者は、オランダ東インド会社(VOC)であった。オランダでは武器産業が発達し、武器貿易商人は、スウェーデン、デンマーク、イングランド、フランス、ヴェネツィアに、場合によっては敵国のスペインにも武器を売った。オランダの武器製造産業は、急速に発展した。そのため、スウェーデン-オランダ間の貿易が増えた。1630年代には、オランダにとってスウェーデン産の銅は、大砲の製造に欠かせないものとなり、鉄製銃器は、イングランドではなくスウェーデンから輸入されるようになった。
近代ヨーロッパの誕生 オランダからイギリスへ (講談社選書メチエ)