宮崎市定『アジア史概説』中公文庫 p.307

 宋代には南中国を中心として大いに科学的知識が発達したが、それはおそらくアラビア人の刺激によったものであろう。北宋中期、王安石と同時代の政治家沈括の『夢渓筆談』には、新しい科学知識が記されているが、かれはアラビア商船の輻湊する泉州の人である。宋代の新学である性理の学は、イスラム神学から影響を受けているかとも思われるが、まだ実証されていない。朱子が地球の球体であることを知っていたのは、おそらくアラビア天文学から教わったものであろう。

アジア史概説 (中公文庫)

関連記事s