奴隷制度が廃止されると、カリブ海のプランテーションは崩壊し、あれほど強力だった「西インド諸島派」も消滅してしまいました。砂糖の特恵関税(イギリス領植民地にとくに有利な関税)も、1840年代につぎつぎと引き下げられました。もとは原価の倍ほどの関税がかけられていたのが、1844年には30パーセントに引き下げられ、1852年には、イギリス領植民地の砂糖と外国産の砂糖の関税が同率とされました。「朝食を無税に」という、マンチェスター派のスローガンは、見事に達成されたのです。
ほぼ同じころ、東インド会社による茶の独占貿易も廃止されました。
穀物法の廃止や砂糖関税の引下げ、東インド会社の貿易独占の廃止などは、自由貿易の政策だということができますが、別の言い方をすると、世界システムを利用して「安価な朝食」を確保することを狙ったものだったということもできます。
砂糖の世界史 (岩波ジュニア新書)