中丸明『海の世界史』講談社現代新書 p.92

 ペストの脅威による生活の変化はまた、ヨーロッパとアジアとの交易に大きな変化を引き起こした。端的にいうと香料、とくに胡椒の需要が増大し、西アジア方面からの輸入がふえたということである。
 が、胡椒の需要はふえても、その支払いにあてる商品は乏しく、結果として、金や銀、銅などをもって当てねばならなかった。ペスト禍が終息しても、ヨーロッパは経済不況に見舞われることになった。この金づまりは、人生をユーウツにさせ、はては厭世観、世紀末観を生み出すことになる。

海の世界史 (講談社現代新書)

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