これまで試みた東西洋の中世史の対比のうえから議論をおしすすめると、東アジアの唐帝国(618~907)は、さしずめヨーロッパではカール大帝を出したカロリング朝のフランク王国(751~911)に比較さるべきものであろう。ただ唐帝国は完全に漢帝国の領域を回復したのにたいし、カロリング朝は皇帝とは称したものの、その最盛時においてさえローマ帝国の全領土を再統一するにはいたっていない。ただ両者とも、古代帝国滅亡ののちに出現した、最大の中世的統一国家たる点においては共通している。
世界の歴史〈7〉大唐帝国 (河出文庫)