
いちばん左には民衆と農民がいます。この大衆の運動は、さきに67頁で見たように、旧体制の徹底的打破を求めると同時に、資本主義の発展に反対するという、二つの側面をもっています。したがって、彼らは、旧体制打破の側面ではブルジョワと同盟できますが、資本主義反対の側面ではブルジョワと対立しています。
そこで、中央にいるブルジョワは、自由主義貴族と同盟して(大衆と手を切って)妥協的改革の道を選ぶか、それとも、大衆と同盟して(貴族と手を切って)徹底的革命の道を選ぶか、まことにむずかしい選択を迫られます。劇薬を飲まずに大衆と手を切れば、保守的貴族の反革命運動に対抗することが困難になりますが、劇薬を飲んで大衆と同盟すれば、その反資本主義的な要求にどう対処するのかが大問題になります。
フランス革命―歴史における劇薬 (岩波ジュニア新書)