宮崎市定『大唐帝国』河出文庫 pp.141-142

 東晋政権は、これをヨーロッパ史上に類似を求めるならば、まさに東ローマ帝国に相当するであろう。ともに異民族のために従来の本拠を占領され、東南に半分残った地に割拠して、しかも正統政府を名のるものである。
 東ローマ帝国がダーダネルス海峡を扼し、地中海上の覇権をなお維持したように、東晋政権は揚子江の水路を掌握することによってその領土の統一を保ち、北方異民族勢力に対抗することができた。

世界の歴史〈7〉大唐帝国 (河出文庫)

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