森安達也・南塚信吾『東ヨーロッパ』地域からの世界史(朝日新聞社) pp.169-170

 日露戦争が終わったあとの列強の対立の舞台はバルカンに移ってきた。1908年7月におこった青年トルコ革命の波及を恐れたオーストリア=ハンガリーは、同年10月、ついにボスニア=ヘルツェゴヴィナ二州を併合した。そのさいブルガリアを誘ってその完全独立を宣言させていた。そうしてセルビアを包囲する形をとったのだが、それはむしろセルビアの側に、狂信的ともいえる排外主義的ナショナリズムを盛り上げ、多くの秘密結社を生みだした。このときボスポラス・ダーダネルス海峡への進出承認と引き換えに二州併合を容認した形のロシアは、その願いを果たせず、不満を強め、セルビアとの結びつきを強めた。

東ヨーロッパ (地域からの世界史)

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