森安達也・南塚信吾『東ヨーロッパ』地域からの世界史(朝日新聞社) pp.77-78

 キエフはドニエプル川に臨む丘の上にあり、地形的には森林地帯がステップに変わる境目にあたる。そのことはこの町がステップの遊牧民に対抗する橋頭堡の役割を負わされていたことを意味する。事実、ロシア国家にとって遊牧民との闘いは宿命ともいうべきもので、モンゴル軍の侵入で農耕民の敗北は決定的となったが、その後、近代の歴史は農耕民が遊牧民を押し戻していく過程であり、そこにロシア帝国の発展を重ね合わせることができるであろう。

東ヨーロッパ (地域からの世界史)

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