君塚直隆『肖像画で読み解くイギリス王室の物語』光文社新書 pp.69-70

 王政復古とともにイングランド国教会も正式に復活し、チャールズが国王を兼ねるスコットランドは長老派プロテスタントが相変わらず主流を占めていた。そこにカトリックの国王が戻ってくるとは……。もちろん、チャールズはそのことは伏せていた。そんなことがばれたら、また大陸に追い返されてしまう。彼がカトリックであることを公言するのは、まさに死の床での「告解(罪の告白)」においてであった。
 ところが、チャールズより三歳年下の弟ジェームズ(ヨーク公爵)は、カトリック教徒であることを公然と認めていた。彼は、海軍長官として、北アメリカ植民地でのオランダとの戦争にも功績を残し、ニューネーデルラントと呼ばれていた領土は「ニューヨーク植民地」と彼の爵位名から名称を改められ、そのまま彼に下賜された領土でもあった。しかしカトリックであることが判明し、公職を解かれてしまった。

肖像画で読み解く イギリス王室の物語 (光文社新書)

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