明石和康『大統領でたどるアメリカの歴史』岩波ジュニア新書 pp.35-36

 大統領としてのジェファーソンが残した最大の功績は、アメリカの領土を一気に倍増させた「ルイジアナの購入」です。ミシシッピ川西岸からロッキー山脈に至る広大な領域(現在の十五州にまたがった地域です)は、当時フランスが植民地化していました。しかし、英国と交戦状態に入ったナポレオンは戦費調達を最優先し、ルイジアナをアメリカに売却すると持ちかけたのです。しかも、急いでいたので全体で千五百万ドルという破格の安い値段でした。この時、ジェファーソンがフランスに派遣して交渉させたのが後に第五代大統領になるジェームズ・モンローです。彼は取引のチャンスを逃すまいと独断でナポレオンの要請を受け入れました。素早い判断は、後に大統領になる資質があったからかもしれません。

大統領でたどるアメリカの歴史 (岩波ジュニア新書)

関連記事s