ゾロアスター教という古代ペルシャの宗教がある。拝火教と訳されることがある。この宗教が古代日本にも入ってきていたというのが松本清張さんの主張で、小説『火の回路』(刊行時『火の路』)がかかれた。
拝火教と訳されるように(ゾロアスターというのは予言者の名である)、太陽、星、火などを崇拝する。
この宗教の最高神はアフラ・マズダという。アフラは神、マズダは知恵のことだ。最高神だからアフラ・マズダは一切の正義、秩序、慈悲、光明の神とされる。光明――正しくは輝きの神だから、日本でマツダランプという電球が売りだされたことがある。松田さんが作った電球ではない。
さてこのアフラの神はペルシャでは最高の神とされたが、一方インドでは悪神とされた。阿修羅がそれである。サンスクリット(梵語)ではアスラという。
古代往還―文化の普遍に出会う (中公新書)